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永遠なる序章
2025年06月10日
自分自身の人生に於いて、「人並みに年老いた後、平均的な寿命で死ぬだろう。ある日突然死ぬ訳がないだろう。」という根拠のない自信をなんとなく持ち続けて生きていました。
しかし数年前、私の尊敬するミュージシャンが亡くなられた事がきっかけで、ここ数年、人間の死について考える事が多くなり「今死んでも後悔しないか」という疑問を定期的に自分に投げ掛けて行動するようになりました。
先日、小説"永遠なる序章"(椎名 麟三)を読みました。終戦直後の零落した日本社会の中で余命数ヶ月の宣告を受けた主人公のお話です。
上述した社会情勢が故に「死にたい」と思いつつも虚無的に生きていた主人公ですが、余命を宣告された事で目の前の当たり前が当たり前ではなくなり、人生への考えが変わります。
はっきりとした起承転結がある訳でなく、あらすじ的に面白いとは言い難い作品でしたが、ここ数年の自分の考えと主人公の人生観が一致する部分が多かったり、作品を通じた空気感が好みだったりと、最近読んだ小説の中で一番印象に残りました。
T.K
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