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人に「おすすめの恋愛映画は？」と訊かれたら、涼しい顔をして『沓掛時次郎・遊侠一匹』と答えることにしています。まだ訊かれたことはないですが。

閑話休題。この映画を監督した加藤泰さんの生誕百周年を記念してイベントが関西一円で組まれていて、9月から京都でシンポジウム、神戸で初期作品のニュープリント上映が行われました。今月は大阪のシネヌーヴォというミニシアターで特集上映が行われ、『明治強化口伝　三代目襲名』と『車夫遊侠伝　喧嘩辰』を見ることができました。前者は仁侠映画の最高傑作のひとつともいわれ、鶴田浩二さんと藤純子さん（緋牡丹博徒のお竜と一味違って初々しい！）のラブシーンがすばらしく、後者は、一目惚れした同士が三回も祝言を挙げる羽目になるという、ハリウッドのラブコメのような洒脱な設定が明治時代の大阪を舞台に描かれていて、おかしゅうてやがて哀しき、結構泣ける話です。

今後『遊侠一匹』も上映されるので、ぜひ観たいです。江戸時代の股旅ものではありますが（誰も訊いてくれないので言っときますが）、男心あふれる、おすすめの恋愛映画ですよ！実際ご覧になったら、いや違うだろ、と突っ込まれるかもしれませんが。

それとこの映画、クリント・イーストウッドの『許されざる者』にも影響を与えたんじゃないか（モーガン・フリーマンが磔になるシーンとか）、と私は勝手に思っているのですが（それも違うだろ、とまたも突っ込みの幻聴が・・・）。

Y・R