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カメラの焦点が定まれば、明るさは自動調整される
2023年07月24日
タイトルは、現在公開中の映画「after sun」の劇中のセリフです。
11歳の少女と、離れて暮らす31歳の父親との旅の思い出を綴った監督自身の自伝的な作品のなかで重要なモチーフになっている、購入したばかりのminiDVビデオカメラ(おそらく1990年代後半の時代設定)の説明書を父親が読むシーンで出てくるこのセリフ、SINRAの監督インタビューによれば着想の原点になったDVテープに実際に入っていた言葉をそのまま使ったそう。
その時の父親と同じ歳になった少女が見返すビデオテープの「記録」と、そこから喚起される「記憶」をめぐる映画のストーリーにあまりに似つかわしく、印象的です。過去の出来事がビデオカメラの機能のように修整されて記憶される・・・、監督は意図せずこのセリフを取り入れたようですが、作品の本質にかかわる重要な言葉に感じました。
子供のときには思いも及ばなかったことが、親と同じくらいの年齢になりはじめてわかる・感じるということは、ある程度年を重ねると誰しも経験するのでは。決して劇的な映画ではないし、見る人によってはしんどいかもしれない、でも今年必見の映画の一つです。
パンフレットが凝った装丁で、おすすめです。
Y・R
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